ローマのおばあちゃん
イタリアで有名な標語(!?)に、
「青い信号は進め。黄色も進め。赤は注意して進め。」
というのがあります。
もちろん、車のことです。
(一説には、「青が一番危ないから最も注意が必要」とも。)
そんなイタリアの道路を横切ろうとするには、遠くから来る車(の運転手)をひたすらじーっと凝視あるいはにらみつけながら歩みを進めることです。
堪忍した運転手は、直前で見るも鮮やかな減速を披露してくれます。
いずれにせよ、ちゃんと前を向いて運転してない人も多いので、タカはくくらない方がいいでしょう。
一応断っておきますが、イタリア全国どこへ行っても皆こういう運転、とは思わないでください。
品行方正な地方やまちも多いのですから。
(もっとも、どの地方の出身者が運転してるかわからない、という意味では気をつけた方がよさそうです。)
一度、ローマのテスタッチョ地区で横断歩道ではないところを横切ろうとした時。
消防署が角にあり、そこからまっすぐ旧屠殺場(mattatoioマッタトイオ)へと伸びている道でした。
直線道ですから、市営バスに邪魔されない限り車は皆すっ飛ばしていきます。
にらみをきかせ…と一歩を出そうとするのですが、罵声も飛んできそうで躊躇しているその時、私の左腕を取る誰かが。
傍らを見ると、会った事もないおばあちゃんが私と腕を組んでいるではありませんか。
道連れを見つけて渡りに船、だったのでしょう。
しばらくすると左からの車がぱったりと来なくなり、これはチャンス!と二人で道を渡り始めました。私はまるで祖母の手を引く孫よろしくおばあちゃんと歩みを進めながら。
(注:イタリアは右車線)
右側から来た車は仕方なく徐行、おばあちゃんは私に向かって「くわばらくわばら」みたいな事を言い続けながら無事渡りきると
「あ〜命が救われたわ、一安心!まあ、保険がかかってるから運転手も私たちを轢く事はないけどね、ハッハッハッ!」
と、私の腕をポンポン叩いて「ブオナ・ジョルナータ(よい一日を)!」とよちよち歩み去って行きました。
苦笑して3秒ぐらい「?」と腑に落ちずにいましたが、そういや向かってくる車は私の側から突進してきたんだよなあ…。と思い当たり、結局「保険がかかってるから」と言いながらもおばあちゃんはしっかり私を盾にして渡ってたんじゃないか、こりゃ一本取られた!とつい感心してしまうしかない自分。
しばらくすると、逆に人(おじさん)を盾にして道を渡るようになった私がいました。腕はさすがに取りませんでしたが。
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