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2006年3月28日 (火)

南回帰線の奇跡の花園〜驚異の砂漠の春

前回ご紹介するはずだったテレビ番組について、今度はちゃんと保存しながら書いて投稿することにしました!(反省)
テレビ朝日で昨日放送された『素敵な宇宙船地球号』
「南回帰線の奇跡」〜砂漠の花園・地球太古の記憶〜
です。

さて…テレビ画面に広がる世界には、ただただ驚きでした。

フォトジャーナリストの藤原幸一さんは、毎年9月頃「砂漠に突如として現れる花園」を求めて、南米、オーストラリア、アフリカの三大陸を訪れるそうです。
実はこの三大陸では、年にたった一回ほぼ同時期に、砂漠が花で色とりどりとなるのです。しかも花園の命はたったの1週間前後。2日だけ、ということも!
(藤原さんのサイトから:http://home.att.ne.jp/blue/FKworkshop/west/afr.html)

藤原さんはこの不思議な現象を追い続け、ある日世界地図を広げてみたら、この花園が出現するのは南回帰線上の地域だけなのだ、という事に気づきました。
南回帰線といえば、南緯23度27分の緯線。
冬至の日、太陽はこの南回帰線の真上に来ます。
太陽はこのラインを極限として、冬至以降北の方へ回帰していきます。
南北回帰線の間は熱帯地域。
花が一瞬の春を告げるのは、熱帯地域に接した乾燥地帯、砂漠の中でのことです。

見渡す限り荒涼とした風景が彼方まで続く大地。やってきたのは南米大陸。
太陽が照りつけ、地面は乾燥しきっており、足元を触れると砂ばかりがさらさらとしている。
藤原さんはその砂を手にとり、「ほら、ここに種が混じってるんだけどねえ」と、砂の中に混ざった判別しにくい粒粒をカメラに向かって指し示します。
「去年来たのはここだったはず、花が咲き乱れていたのは…」と言う中、カメラがとらえるのは青い空と灰色の大地だけ。

しかし、その数日後に異変が起きたのでした。

まず、はるか彼方から、もやもやと雲らしきものが現れ始めました。
それがだんだん広がると、青い空は灰色一色となり、砂漠は深い霧で覆われてしまいます。
その数日後…砂漠の大地のあちこちに、なんと薄緑色の新芽が吹き出し始めたのです。
そのまた数日後には…なんと、突如として辺り一面をピンク色に染める花が、一斉に開いた!
たった数日の霧がもたらした生命の饗宴、私はそのあまりの美しさにテレビに釘付けになってしまいました。
ピンクの他にも、黄色、白、オレンジ、赤、紫…と、あらん限りの色で大地がモザイク状に染め上げられます。

花ばかりではありません。
一体何処から現れたのか、花から生まれでもしたのか、ミツバチがせわしなく花から花へと花粉団子づくりに飛び回り始めます。
かと思えば、じっと獲物がかかるのを待ち続ける植物がいる。食肉植物です。
案の定、一匹の虫が葉っぱのモジャモジャにとらえられ、もがくうちにポトン、と奈落の底に落ちてしまいます。万事休す。
しかし、その食肉直物をガツガツとむさぼり食う虫も現れる。
さらに、その虫をねらう鳥がそこにいる。
その小さな鳥を、さらに大空を旋回しながら、猛禽類が地上を鋭い目でとらえています。

一瞬にして、完璧な循環をなす生態系が出現するその様を見れば、自然のシステムというものに畏敬の念を抱かざるを得ない。
これほどまでに無駄のない世界に、人間は割り込む事を許されないのではないか。
そんな思いがこみ上げてくるのでした。

案の定、この地帯に道路ができたことで、砂漠の花園にも存続の危機が訪れているといいます。
人の行き交いによって、人知れずくっついてきた外来の植物をはびこらせることになり、元来あった植物を駆逐しようとしているそうです。
また、人間がとりこんだ動物たちが、植物を食べてしまうとも。
そして、特にこの20年で、それまでになかった変化が生じている。花の開花も遅れているようです。

花園の出現には霧が絶対不可欠ですが、この霧は南極方面からの冷たい海流と、大陸からのあたたかい空気がぶつかることで、陸と海の間で発生します。
ちょうど、陸が終わり海が始まる場所で、もくもくと雲が湧き上がってくるのです。
この雲が陸へ流れ込むと、地面を湿らせ、植物の種たちはこのわずかな水分を可能な限りキャッチして発芽し、急速な成長を遂げます。
全く良くできているもので、このような地域に根付く草花の葉は肉厚で、内側には水の貯蔵タンクを持っています。砂漠のラクダみたいなものですね。
このタンクを満たすために、葉の表面には無数の細かい毛が生えていて、わずかな水蒸気をもとらえて葉の中へと水を送り込みます。
そうやって、人知れず花を咲かせるのです。

砂漠では、このように命の源を最大限に利用しようとするシステムに事欠きません。
ある虫は、霧が発生すると、砂漠の斜面に頭を低くしてじっと固まったままになります。
逆立ちしようと頭を低くしたのはいいが、後ろ足が上がりませ〜ん、といったようなポーズをしているわけですね。
これは、お尻の方にたまった水蒸気が集まると、重みで一粒の水滴となって下へすべりおちていくためです。その虫の頭=口があるところに到達すると、晴れて命も安泰、というしくみ。

生きるために、生物は自らを環境に適応させた。適応できた者だけが、生き残れた、ともいえます。

この砂漠の花々の中に、太古の昔から咲き続けるものがあるそうです。
そして、これは三大陸に共通で、しかもこの南回帰線地域(南半球)にしか見られない、といいます。
かつて、地球上には南極を含めた大陸群がすべてくっついていた。それを裏付ける植生でもある、ということになります。

これらの貴重な花々、そしてそれにあやかるさまざまな動物たち。
藤原さんは、そのお人柄がしのばれるようなやさしい声で、昨今の地球上の変化を憂えています。
「もしもこの砂漠の花たちが咲かない日がやってきたら…その時は地球に大異変が起きる、そういう気がしています。」

人間は、なぜ自然から切り離されてしまったのか、自らを自然から切り離したのか。或いは、なぜこんなにも完璧な自然を、自らに従属させようと無謀な試みを続けるのか。

藤原さんの活動に深い共感を覚えるとともに、人間ひとりひとりが地球の精巧なシステムに調和した生き方をしていくことに真剣になれれば、とあらためて思うのでした。
自然の生き物たちは、一瞬一瞬を真剣に生きている。私たち人間も、ぼーっとしている場合ではないのではないか。真剣さを向ける方向を間違えていないだろうか。

南回帰線上の奇跡が毎年訪れる事を切に願って止みません。

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