« 継続は力なり… | トップページ | 自分とは何か、どこから来たのか、そしてどこへ行くのか »

2006年8月25日 (金)

イタリアの闇とホタル

8年前(1998年)の6月は、トスカーナ南部のマレンマ地方で語学学校生活をしていました。
田舎町だったので授業が終わると午後はハイキング、アグリツーリズモ訪問などがたいていの過ごし方。
(しかし宿題はガッツリ出るのにそれをやる時間がなく、朝は先生に泣かされていた私…まあそれはともかく)

ある夜、学校のみんなで(といっても10人程度?)アグリツーリズモのイノシシ料理を食べに行きました。
学校がある町は丘のてっぺんにあるので、アグリツーリズモへは町を出て下って行くことになります。
行きは学校のイベント企画担当の人などに車で送ってもらいましたが、帰りは歩いて帰る事に。
(徒歩でも30〜40分ぐらいなので、帰れないことはなかったのです。食べ過ぎて腹ごなしにはちょうどよかったかも。)
Manciano_prato

ドイツ人、アメリカ人、日本人の皆で車道をおっかなびっくり、月の光をたよりに町へとのぼっていきました。
人家もなく街灯もなく、真っ暗闇の中で唯一夜景を照らし出しているのは満月に近い月のみだったのです。
そこへ、突然目の前に、フワ〜と漂う光る物体が…
チカチカと瞬いており、車道を横切って行くのをみて、ホタルだとわかりました。
みんなでびっくり、それがだんだん増えてきたのです。
"lucciole(ルッチョレ)!!"
と、口々に叫んだかどうかは覚えていませんが、「ほら、あそこにもあんなにたくさん!」と、車道の下に広がるオリーブ畑をみると、木々の根元に無数のホタルが星のように散らばっていました。
昔はうちの近くにもホタルがいて、夏になると砂糖水を持って見に行ったものですが、もうどこにも見当たりません。
その時以来、ということは20年以上ぶりでしょうか。
しかも、こんなに強く輝くのか!?というくらい、光が強いのです。

上空には丸い月、眼下には実態の見えない無数の光がまたたきながら右へ左へとさまよっている。
丘の斜面のオリーブ畑には、雲も低く薄くたれ込め、月の光が鈍く白く反射していました。
オリーブの木が規則的にポンポンと並び、やはり月光で輪郭が浮き上がり…。
あの風景はいまでも忘れられません。

日本にいて、「人工の光がない」中で夜の自然を味わえる場所は、そうそう身近には見つからないものです。
町と田園の区切り目がまだ比較的きっちりと残っているヨーロッパでは、何百年前も昔の人たちも目にしたであろうような風景をかいま見せてくれます。
でも、この幽玄な光景は何物にも変え難いものでした。
なぜかはわかりませんが、ゲーテが目にしていたのはこんな月夜だったのかもしれない、と強く思った記憶があります。たぶん、ゲーテ自身が描いた月夜の風景デッサンを思い出したからでしょう。

語学留学先の小さな町は、自然と触れ合うには絶好の場所でした。
もうひとつ好きだったのは、「ストラーダ・ビアンカstrada bianca」。
町を一歩外へ出ると、まだ舗装されていない白い砂利敷の道(strada)がたくさんあります。
そんな道を歩いていくと、見渡す限り花でびっしりの美しい斜面が突然現れることがありました。
写真はなかなか上手く撮れないものですが、黄色い花が咲いていた様子を添付します。

語学留学先を選ぶポイントとして、勉強だけではなくどんな課外活動もあるのか調べてみる価値はあるかもしれません。
私自身は、ローマへ行く前に田舎と都会の両方を経験したい、と思い、田舎のマレンマは1ヶ月、交通の便の良いボローニャに2ヶ月(とはいえ旅行はほとんどできなかったのであまり意味はなかったのですが…)滞在しました。
結果的には配分としては正解だったかな、と思っています。
初めてのイタリア暮らしにまず田舎を選び、クラスには私とアメリカ人のマダムの二人だけでずいぶん鍛えられました。
まあ、宿題やらない常習犯で怒られっぱなし、けっこうきつくてべそかいたこともありますが(情けない)。

なんにせよ、色々と見聞を広めるためには資金的余裕があったほうが行動範囲が広がっていいかもしれません。
ビンボー暮らしもまた、お金のありがたみが身にしみるほどわかっていい経験ではありましたが。
(「あの頃あなた、ファルファッレのトマトソースばっかり食べてたわよね〜」とボローニャ時代の友人に言われた時には、そうだったかなあと自分でびっくりしました。トマトソースのパスタ、っていうと、日本のかけそばみたいなものなんでしょうかね。)
まあ、お金がなくてもそれなりに楽しみを見つけられるのでオツなものです。
歩き回るだけならタダですから。
おかげでボローニャ暮らし時代は今までの人生で一番やせていた気がするなあ。

ともあれ、あのホタルの風景…もう一度、あの感銘を味わいたいものです。
Fiori_gialli_manciano

« 継続は力なり… | トップページ | 自分とは何か、どこから来たのか、そしてどこへ行くのか »

イタリア・イタリア語・イタリア人 Italianissimi」カテゴリの記事

環境・自然 ambiente&natura」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イタリアの闇とホタル:

« 継続は力なり… | トップページ | 自分とは何か、どこから来たのか、そしてどこへ行くのか »

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

おすすめリンク

INFO UTILI

無料ブログはココログ

瞬!ワード