« 聖フランチェスコと科学 | トップページ | ♪授業おわり〜♫+まぐまぐ出来事(11) »

2006年9月18日 (月)

鮑古丹の冬の海

今朝、NHKを途中から見てそのまま釘付けになったのが、礼文島の鮑古丹(あわびこたん)にお住まいの浜下夫妻のドキュメンタリー番組:
「海鳥と妻と~北海道 礼文島~ 厳冬をたった2人で生きる夫婦のきずな」
です。
極寒の北海道、礼文島最北にある集落で暮らす漁師、浜下福蔵さん(76)は、夫婦たった二人きりで一冬(といっても一年の半分にあたる)を乗り越えます。
二人きり。でも二人だからできる、と福蔵さんはいいます。
そして、自分たちはカモメたちにも生かされている、と。

福蔵さんは、真冬の海辺に打ち上げられたクジラを見つけます。
その上にはカモメが一羽、とまっている。
福蔵さんはクジラに近寄り、確かめる。
「いいクジラだね」
クジラを刃物で少し、傷つけます。
「カモメたちはこのままじゃ食べられないから」
そして、自分たちと同じように厳しい冬を越そうと闘っているカモメたちをねぎらい、福蔵さんはクジラを背にして歩み去りました。

冬ごもりしながら福蔵さんは自宅で毛筆を握り、実に味わいのある文字で、海と生きる自分からほとばしり出る言葉を次々と墨で紙の上に書き続けます。「海鳥」「海との闘い」…そして詩も。
ご本人の朗読で、詩が淡々とつづられる中、テレビには鮑古丹の殺風景な入り江が映し出されます。
声にも、文字にも、福蔵さんの淡々としかし着実に一日一日を踏みしめてきたあかしが表れていました。
「海は命」—海に生かされる自分、自分の周りのもの全てに福蔵さんは感謝しながら生きています。

「全然さびしくないね。お父さんがいるし。淋しいと思った事はない」
とは奥様の言葉。緑内障で左目を失明、右目もかすんでよく見えないという奥様も、もくもくと家事をこなしています。
雪が降ると真っ白でものの見分けがつかなくなるため、奥様が外出する時は福蔵さんも必ずガイドとして一緒に出かけます。「雪がなければ道が黒く見えるんだけどね。雪はだめ。みんな真っ白で。」

息子さんが時々、リュックに大量の食料品(主に野菜)を背負ってやってきます。貴重な冬の食糧、二人はいつも楽しみにしています。

雪解けとともに、二人は外で過ごすことが多くなります。
奥様はお米の団子をつくり、一人で高台へと歩いていき、草むらに「カモメへ」とお供えします。「いつもカモメたちが私たちを守ってくれている気がするから。漁へ出るお父さんにも持たせてるよ」
はじめはカラスが一羽だけそばにとまっていましたが、やがてカモメたちが奥様の頭上を旋回し始めます。

3月、初漁。タコを目指しましたが水揚げはゼロ。
「大漁だ。たこつぼが」
岸辺に船が着き、待っていた奥様に福蔵さんは笑いながら言いました。
漁は、まだこれからなのです。

鮑古丹に御神輿がやってくる。車上のスピーカーに流れるお祭りの歌。子供たちが浜下さん夫妻の前で踊り始めます。福蔵さん、年に一回のこのお祭りがとても楽しみ。二人に笑顔がこぼれます。

7月、短い夏。
今年は昆布が大漁、福蔵さんは息子さん、仲間たちと夜明け前から夜遅くまで働き続けます。働ける時に働く。日干しされてカラカラになった昆布が、次々と束ねられていきます。

「47年もこうやって健康に生きて来られて、幸せだね。他の人たちがどう思うかは知らないけど、ほんとに幸せだ。」
足る事を知る生き方。
福蔵さんが時々見せる笑顔がとても素敵でした。

「海鳥よ 海が荒れても君は働く 強風の音に 漁師は丘で凪(なぎ)を待つ」

« 聖フランチェスコと科学 | トップページ | ♪授業おわり〜♫+まぐまぐ出来事(11) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

環境・自然 ambiente&natura」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/157933/11943153

この記事へのトラックバック一覧です: 鮑古丹の冬の海:

« 聖フランチェスコと科学 | トップページ | ♪授業おわり〜♫+まぐまぐ出来事(11) »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

おすすめリンク

INFO UTILI

無料ブログはココログ

瞬!ワード