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2009年2月 2日 (月)

ETV特集・辺見庸氏

昨晩のNHK教育テレビで、辺見庸さんにフィーチャーした特集番組が放映されました。

今の日本で、これだけ長々とテレビ映像で流されながら、全く無駄な言葉ひとつ口に出さない方がどれだけいらっしゃるものでしょうか。

番組はほぼ、顔面ドアップ(!!)の辺見さんが語り続ける様子で占められていた。驚異的です。
それがまた、瞬きももったいなくなるほど、ついつい食い入るように見つめたくなるほどの素晴らしいお顔なのには驚きました。いや、辺見さんだからこそというべきか。

辺見さんが語った全てが番組に盛り込まれているわけではないのでしょうが、全くぶれない精神と頭脳をそっくりそのまま体現している顔の表情、ひとつひとつの言葉の配置と必然性、そこから巨大な姿を現す「マチエール」。
一時間半の中にぎっしり詰まった言葉の背後に立ち現れた怪物に、未だに私は飲み込まれているようです。

こんな形でブログ記事にするのも恥ずかしくなってくるほどズシンと言い様のない深い衝撃を受けたのは、これまでのテレビ番組で果たしてあっただろうか。
今ここにいる自分だからこそなのか、何なのか。

世界の現状をひとことでパンデミック、と評した中に、恐ろしい本当の敵と、それを真っ向から見据えなければ取り返しのつかない将来が待っているこ と、だからこそ今が真の価値観を見い出すチャンスであり賭けでもあること、考え続け、想像を続けること、外に出すこと、それらが渾然一体となり表現されて いることに気付きます。

私たちは、言葉が単なる言葉ではないことを、あまりにぞんざいに考え過ぎてはいないのだろうか。

日常目にすることも、ただそのまま垂れ流してはいないだろうか。

忙しすぎる、とは一体何なのか。

思考とは何のためにあるのか。

「意味を見つけなきゃお前は生きていけないのか!?」
…そんなことではないのだ。

「徒労に終わる」ことを身をもって毎日感じている辺見さんの存在と一連の言葉が、頭から離れません。

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