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2009年5月30日 (土)

展覧会づくし 

展覧会に4つ、行ってきました。かな〜り久しぶりだな
もちろん、一日でこなしたわけではありません。
招待券が二つあり、あとは自主的に、ということで

まずは東京国立博物館「阿修羅展」
もうそろそろ落ち着いてるだろう、雨も降ってるし・・・と前情報も調べず平成館へ行ってみると・・・
50分待ち!?平日で!?Σ(・ω・ノ)ノ!
Photo_2 まあでも引き返す訳にも・・・待ちました。時々傘で前のおばちゃんに攻撃されつつ(笑)

おとなしく待ち、入館するとこれまたすごい人だかり。
でも、興福寺の宝を守ってきた方々の気持ちが会場のあちこちに感じられ、身震いしそうでした。

四天王像や菩薩像など、巨大な像を火災のたびに持ち出して守って来たお坊さんたち。いったいどうやって運び出したんだろうか。かなりの大きさだというのに、火中で・・・・・
今の今まで私たちがこうやって拝めるのは、本当にありがたい事です。

金箔や鮮やかな色彩で彩られたであろう像が、時といういぶし銀のような色彩をまとっている姿には、いっそう作者たちの念が強く放たれているように感じました。

阿修羅像は・・・展覧会でなければ見られないような光源の中で、ぐるりと回りながら刻々と変わる形に何とも形容しがたい気持ちに。

像に宿る、生きとし生けるものへの悲哀・慈愛。

ペルシャ、インドへと「阿修羅」の神としての形はさまざまな変遷を遂げたようですが、仏教では釈迦を守護する神として説かれるようになったそうです。

力のこもった三つの顔。それに相反するような、棒切れのような腕6本。

博物館を出て、雨の恵みを全身に受けた木々たちが夏へと準備を進める中、一本のイチョウの木が寂しげに見えました。

まるで、阿修羅像のようだった。

P1000039

もうひとつ。出光美術館
Photo_3 東京で最も好きな美術館のなかのひとつです

「水墨画の輝き」は31日(日)で終わってしまうので、招待券で取り急ぎ鑑賞。

ここも思いのほか、人が多く・・・日本ってすごいですよね

松林図屏風で有名な長谷川等伯の屏風に、釘付けになりました。

竹林の迷わぬ筆跡、陰影の美しさ。

私の好きな絵の原点は、こういうところにある。
一発勝負の水墨画やフレスコ画には、やはり心動かされます。
(だから相撲も好きなのかな笑)

中でも、一色で多色を演じられる水墨画を目にするとき、自然と精神を研ぎすます心が生まれてくるようで・・・見るだけで雑念が一掃されるのです。

そういう時間がとても貴重に思えます。

出光は、一通り回りきって出口に待ち受ける、皇居のパノラマがまた素晴らしい。

お茶のサービスを利用しながら、雨でけぶる風景を眺めながら、まだ水墨画の世界の続きを見るような心地でした。

雨の日のほうが、おすすめ!な出光美術館です。

さて、お次は・・・予定してませんでしたが、有楽町じゃ次は両国にするか!と国技館の相撲博物館へ(笑)

現在、国技館開館100年を記念して、「国技館100年」展が開催されてます(※6月19日(金)まで)。

国技館入口の門衛さんのところで、場所中も行っていた「消毒液」が置いてありました。

「よろしければご協力お願いします」といわれ、「そうか〜よろしければ、なのか・・・」と思いつつ、プシュッと手に一吹き。

初めて入った博物館。とても小さい空間ですが、変遷を見て興味深かった。

現在の国技館は11,000人ちょっと入るとのことですが、初代国技館はもっと凄かったようで、大入り満員のときは17,000人も収容したとか・・・!?

そこまで大きいと、一番遠い席から取組見るのも大変だったかもしれませんね

開館記念祝典ごとに、最上位力士二人で行う「三段構え」の説明があり、それを興味深く読んでいたら・・・何やら左のほうで、どでかい声が。

こんな小さな館内で轟きわたる、誰かを叱りつける声。

「?」と思い、左へ首を回すと・・・なななんと!

そこには九重親方

会場の様子を見にいらしたのでしょうか。次には私の右のほうにある展示物を眺めたあと、のっしのっし(?)と去って行かれました。

気付いた人たちが、皆一斉に後ろ姿を追っていた・・・(笑)

会場奥には、国技館変遷ビデオ(15分弱)が上映されていたので、それもしっかり見てきました。

若かりし日の九重親方・千代の富士の美しいこと!いや、こんなに美しい均整のとれた体をしてらしたのですね・・・無駄の無い、筋肉隆々の鍛え上げた体に、精悍な顔つき!まさに「ウルフ」

豪快な「つり出し」の一番がもう一度見たくて、二度見てしまいました(笑)

過去・生とダブルで千代の富士関にお目にかかれるとは・・・先日の日馬富士関といい、なんだか勝手に「きっと日馬富士は近いうち横綱になるぞ!」と予兆めいたものを感じた蒔右絵門。ハハ。

でも現実になることでしょう、きっと。

(後から知りましたが、九重親方は現在博物館館長代行を務めていらっしゃるのですね

番付表がいくつか展示してありましたが、それも面白かったですね。この節目にこの横綱の組み合わせ、あの人がまだ前頭だったにしても随分小さい名前で・・・等々。

後にした国技館。この日、初めて「さざれ石」にも気付きました。あの「君が代」のさざれ石が、ここにあるのです。

P1000041_2 振り返れば、今の時期だけサツキの花でピンクに色めき立った国技館。なんだか新鮮に思えました。

最後は、Bunkamuraザ・ミュージアム「忘れえぬロシア」です。

まあほんと・・・どの美術館に行っても人だかりですね。

4つの中で一番空いてたのは相撲博物館(笑)。それでも人がいてびっくり(?)でしたが。

Russia チケットの目玉絵画「忘れえぬ女(ひと)」にもじった展覧会タイトル。

印象深い絵も多かった。

肖像画を見ていて気になったこと。

ロシア画家の特徴なのかわからないのですが、顔を入念に描き込む分、手の描き方がどの画家も簡単・・・

丁寧に描いているようでも、何か違和感あるような手つきだったり。

気のせいだろうか?

その分、顔につい集中してしまうのではありますが。

アフヒープ・クインジの「エルブルース山ー月夜」が一番印象に残っています。

富士山より少し丸みを帯びた雪山と、かすかに光りうねる谷間の一筋の川。

手前が紅く見えて一瞬ドキッとし、よく見ると、確かに赤く塗った後に暗い色が塗り重ねてある手前の山。

「黄金の秋」、「領主の館のテラスで」にもハッとしました。

「領主で〜」の前では、かなりの間立ち尽くしていたかも。

フランス印象派ほどには華麗ではない、柔らかな色彩。思わず画中の人となりたくなるような、魅力的な空間。空気がここまで伝わってくる。

画面の大きさと色彩が絶妙のバランスを保っていたように感じます。あのサイズにしてこの絵あり。

あんな絵が描きたいかも・・・

少しずつこんな空間が忘れ去られていくことに嘆いていた画家の愛情が垣間見えた、珠玉の作品でした。

いずれにせよ、肖像画はどれも興味深いものがありました。そして、それとは対照的な風景画。あるいは、人物が入った風景画。

ロシアの人間の存在感、自然の姿。ヨーロッパよりも自然が「自然」に感じられるような絵が多かったように思います。

単なる「対象」としての自然ではなく、自然によって人間も育まれてきたことを示すような質感。そんな一体感というのか、一貫した何かをこの展覧会には感じました。

「太さ」があるとでもいうのでしょうか。絵は巧い、だけどその中に厳しい気候ならではの無骨さも一方で感じられる。その厳しさの中で育まれた人情も。

・・・ふう。

一気に奈良時代から現代まで、旅して来た気分です(笑)

久しぶりに見た展覧会は、どれも堪能できました

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