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2013年6月16日 (日)

「貴婦人と一角獣」「ファインバーグ・コレクション~江戸絵画の奇跡」展

13日(木)14日(金)と続けて展覧会へ行ってきました。

まずは国立新美術館の貴婦人と一角獣展。

Img_20130621_0007

フランス国立クリュニー中世美術館の至宝、6連作タピスリーがなんと一挙に日本へやってきたという・・・!
この作品がフランス国外へ渡ったのは、1974年にアメリカのメトロポリタン美術館へ貸し出された時のみ。それ以来、2度目の渡航先が今回の日本・・・。
今年、クリュニー美術館がこの作品の展示スペースの環境改善のためにタピスリーを移動させる必要があった(※詳細はフランス語ですが美術館公式サイトのこちらへ)こともタイミングがよかった、ともいうべきなのでしょうか。

ラファエロもそうですが、遠路はるばるよくぞこのような恐れ多いものが・・・と、まずは大きな展示スペースに一同に会したこの6連作に囲まれて震えに似たものに襲われました^^;
(確かに国立新美術館は冷房がききすぎで必要以上に寒過ぎ!と思うのですが・・・この展示室自体は幸いそうでもなかったんですけどねw)

作品の概要については方々で語られているので割愛しまして。
タピスリーはそれぞれ大きさもまちまちで、1500年頃の作品とはいえ微妙に制作年が違うのか・・・見比べると実に興味深い。修復されているせいか、思いのほか鮮やかな色合いだったことにも驚きました。

Photo

(↑チラシ見開き)

最初の「触覚」を見てまず思い出したのが、ボッティチェッリの「春」でした。執拗に描きこまれた草花、すらりとして面長、少し憂いを帯びたように見える貴婦人の姿など・・・。

Primaverabotticelli_2

ボッティチェッリの作品は、1482年頃のもの。
もうひとつ脳裏に浮かんだのは、ピサネッロの「聖エウスタキウスの幻視」。

Pisanello

推定1450年頃の、聖エウスタキウス伝説をテーマとして描かれたもの。こちらは動物たちが主役でもあります。

イタリアの美術史よりも少し遅れて時代が訪れる印象の北方(フランス)。その一方で、この作品にしか醸し出せない独特の雰囲気・魅力があり。謎も多く、それが今でも人々を惹き付けるのでしょうね。
国も違うし文化の違いはあれど、おおよそ同じような時代の匂いが漂うこれら三作。ボッティチェッリはその中でも中世の括りにおさまりきらない時代の訪れを感じるのではありますが。
どれをとっても共通しているのは、エレガンスを母体とした繊細さ。

ところでこのクリュニーのタピスリーに関しては「アンヌ・ド・ブリュターヌのいとも小さき時祷書の画家」と呼ばれる人物が下絵を描いたとされているそうですが、タピスリーの仕上がり具合をみると、果たして全てが同じ画家の手によるものなのか・・・?という疑問も湧いてきます。
一方で、あるウサギのポーズがどのタピスリーも一緒だったり、千花模様(ミル・フルール)のモチーフが繰り返されていたり・・・
下絵がどんな方法で描かれたのか、気になってしまいました。

下絵をもとにタピスリーを織っていくにせよ、職人さんによって表現力に開きが出てしまうのかな?とも考えたり。それにしても同じライオンやユニコーンも、顔や姿形の描きこまれ具合に共通項を見つけるのも難しい。
見れば見るほど不思議な作品。

コチコチに硬いなあ・・・と思うようなタピスリーもある中、最も構成がバランスよく、全体的にも躍動感あふれて素晴らしいと思ったのが「味覚」でした。ライオンとユニコーンの動きも秀逸で、土俵(にしか見えないんだって!俵みたいなものまであるし笑)のような丸い地面も最も自然な形をしており、貴婦人の背後には薔薇の垣根まで巡らされている。旗やヴェールといった布地がたなびく様子が、タピスリーに動きと優美さを与えており。

いずれにしても、どの貴婦人も見事なドレスと宝飾品を身にまとってポーズも美しく、依頼者がいかにこの主人公に重きを置いていたのか、に思いを馳せるのでありました(笑)

意味深げに貴婦人の膝上の衣をたくしあげ、鏡に魅入るユニコーンが描かれた「視覚」、そして最も謎が多いと言われる「我が唯一の望み」。
この6作目は、犬がどの作品よりも丁寧に描きこまれ、しかも腰掛けの上に美しいダマスク織の敷物が置かれたその上に鎮座まします・・・という異質さから見ても、やはり「犬=忠誠=結婚」を想起させる図案となっています。

別の展示室では、6つの作品に登場した動物や植物の拡大パネルを並べて動物名や植物名が添えてあり、とても興味深く拝見。
同じウサギでもついプッと吹き出してしまうようなものが拡大されると余計可笑しかったり、てっきり小判草だと思っていた草がミントだったり^^;

そして、このタピスリーを読み解く上で参考になるような美術品も、さまざまなテーマを設けて展示されていました。

Img_20130621_0010

(↑チラシ裏面)

長い衣をまとった女性(聖女など)の木彫り作品、中世時代の女性の宝飾品、ザクロ実文様のミサ用衣装、紋章、一角獣のブロンズ像、同時代のタピスリーなどなど。

合わせて日本ならではの高精細デジタルシアターも見応えありました。プレゼンの仕方が素晴らしい!
デジタルシアターはこの特別映像(タピスリーより奥のスペースにあり)と、展示順路からいくと最後にあたる部屋にはクリュニー美術館の紹介映像と、合わせて二つを楽しむことができます。

聖書の誤訳によって一角獣が生まれてしまったとか・・・意匠の解釈・歴史の中での変遷など、説明パネルも色々と興味深いものがありました。

で、ご多分にもれずのクリアファイル買い・・・^^;

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右側の無色透明地に動物・植物モチーフだけが散らばっているのは、裏返すと赤地になっています。とてもカワイイ!
左のファイルの表は上のファイルと同じ作品をタテ型にしたものがプリントされており、開くと両側にポケットもついている高級タイプ。
(予算オーバー( ̄Д ̄;;)

東京では7月15日(月・祝)まで。その後、大阪へ巡回するそうです。
色々な見方ができる、類まれなる作品。日本で目にするのはまたとない機会かと。でも、是非とも今度は現地で見てみたいな。いつになるかは&実現できるかどうかはともかく・・・。
クリュニーでは、年末にはリニューアルされた展示スペースで見られるようになるとか。

しかしですね、国立新美術館・・・寒い!女性は羽織るものが必要。というか、床の穴から冷気が上がって来るので、スカートの方はホント、冷えにご注意ください!冷え症の方は穴の真上に立つべからず!
(館内の女性監視員さん、風邪を引いてしまわないのだろうか・・・)
寒さはともかく、平日でしたが混み合うというほどのこともなく快適に観賞できました^^
(ラファエロ展は異常すぎた・・・w)

もうひとつ、14日(金)には江戸東京博物館へ。

Dscf0098

ファインバーグ・コレクション展「江戸絵画の奇跡」
1970年代にはまだ若かったアメリカ人夫婦が、メトロポリタン美術館ですっかり魅了されてしまった日本美術。少しずつ収集を始めて現在に至るそうですが、この収集センスの質の高さには恐れ入りました(財力はもちろんながら・・・)。
江戸時代民間画派の自由な作風が中心となって構成されており、見ているこちらものびやかな気持ちになってくるようなものばかり。

それにしても・・・酒井抱一の「十二ヶ月花鳥図」!!!
一幅も欠けることなく、十二ヶ月分が揃っている光景といったら!
そして伊藤若冲。三幅中、中央の一幅は日本人が個人所有しているもので、今回の企画により菊図が幸運にも揃って鑑賞できることに。
同じく若冲の「松図」が隣に掛けられており、全く迷いのない筆運びと力強さ、どうすればこういうかすれが出来るんだろうという不思議さに暫し立ち尽くす…という感じ。

そういった名だたる画家の絵に混じり、実に興味深く見ていたのが作者不詳の南蛮屏風。
日本人が家の窓から(ある意味動物園の檻に入れられた猿か何かのように)怖ごわ外を闊歩する南蛮人の行列を眺めている様子や、南蛮人の衣装の生地が殆ど日本製と思われる図柄ばかりだったり(そもそも日本の古典柄とは、純粋なる日本古来の古典柄といえるのだろうか?)、黒人もいたり、江戸の風流よろしく南蛮人が手摺に体をもたせ掛けて月をうっとり眺めていたり…なんとも貴重な資料価値のある絵だな、と気付いたら一番時間をかけて見てしまっていました。
後半は展示替えでこの屏風は見られなくなるようです。

一番最後の葛飾北斎の武者絵「源頼政の鵺退治図」も迫力がありました。浮世絵で有名な画家たちが描いた錦絵というジャンルもまた興味深いですね。

Dscf0099

(↑チラシ裏側・・・今更、このチラシで100円引きと気付くwでもチラシをゲットしたのも観賞後だったから意味無し^^;)

まあとにかく他にも色々…どれも保存状態もとても良く、コレクターであるご夫婦の作品に対する愛情をひしひしと感じました。

展示を見終えてアンケートを書いたら絵葉書をプレゼント、というので書いて担当者に渡したら。。。「すみません、そちらじゃなくてこちらのアンケートになります」と言われ、二度手間に(苦笑)ま、いいか。
いただいた葉書は、綺麗だなと眺めていた松野親信作の立姿美人図でした。

ファインバーグ展も、7月15日(月・祝)まで。後半の展示替えは6月18日(火)より。
月曜日休館なので、実質これから見る方は展示品が若干変更となります。
こちらの展覧会も平日・金曜日のお昼過ぎから見たのですが、入りが程良くゆっくり観賞できました。

ここからは全く余談ですが、南蛮=ポルトガルといえば。
先日大相撲の呼出しさんのたっつけ袴を見ていて、「不思議だよなあ…どこからこういう斬新なデザインが出てきたのかな?」と不思議に思い、「たっつけ」で辞書を引いてみたら。なんと「カルサンのこと」という説明だけ一行ありまして。
「カルサン」で調べると、今度はこれがポルトガル語だと判明。
どうやら、中世(15~16世紀)に渡来したポルトガル人のあの膨らんだズボンにタイツ姿を見て採り入れた結果、現在のたっつけ袴(※「たっつけ」は裁着または裁衣と書くそうで)の形になった模様。
ただ、着物の形式としては平安時代から存在する指貫(さしぬき)に当たるようですね。にしても、異国との交流が無ければ生まれ得なかった形…これがまた作業用にも理に適っているから今でも出方さんたちがあの姿で国技館の中をシャキシャキと動き回っているわけですし、歴史とは面白いものです(^ω^)

・・・と、話がズレましたが、そんなところで。

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コメント

南蛮屏風に強く興味を引いておきながら、実はもう見られないという貴重な情報、ありがとうございます。後半、入れ替わった作品を楽しみに行きます(うぐぐ。。。)

近代美術館の冷房がきついということ。これはもう、鑑賞の楽しみの重大部分に関わる問題なので、ありがたい情報です!
あの美術館は、展示物によっては白い大きな壁ばかりがやたら目立ってしまうのですが、こういうタピストリーには良さそうですね。
月日がたつのはあっという間だから、早く行かねば!

たっつけ袴、そう言えば、あのギャザーの寄った上着の下のズボンに似ている!
前にも書いたかもしれませんが、あの引退した力士の警備係の制服、あれ何とかもっと粋なのになりませんかねぇ。

お暑うございます。。。

タピスリーの赤、きれいですね!!少し朱色がかった赤かな?
実物は、さぞ鮮やかなんだろうなと☆
赤は何か高揚させるパワーがあり、惹きつけられるものがありますね。

国立新美術館は、毎年夏に読売書法展を見るために行ってます。
こういった展示もゆっくり見に行きたいなぁ♪
クリアファイル、予算オーバーでも絶対買い!!ですねw
すごくお洒落で、さすがデザイン性が高い。
ポケット付きは何かと便利です♪

たっつけ袴というのですね。勉強になりますm(__)m
ルーツがボルトガルだとは!面白いです!

江戸東京博物館、まだ行ったことがないのです・・・いつか必ず~( ̄ー ̄)ニヤリ
今朝ほど協会ツイートにあった、相撲博物館も行かねば♪です。

いくさん、す、すみません・・・南蛮屏風が展示替えになることを知ったのは後からの情報でして><
決して悪意があって記事を書いたわけではございませんのでお許しください(。>0<。)

国立新美術館はセザンヌ展の時、寒過ぎてそれこそ集中できずに早々に出てしまった記憶があります(泣)タピスリーのヒントになる作品が展示されているスペースが特に寒く感じました。
タピスリーの展示室はグレーで壁面がまとめてあって、作品に集中できるようなスペースになっています。確かに天井も高いし、こういう作品にはうってつけの美術館かもしれません。
照明が落とし過ぎ、と言っている専門家の方もいらっしゃるようですが、私は「こういうもの」として見ていました。クリュニーに行ったことが無いので比較しようがありません^^;

私も辞書に「ポルトガル」が出てきて即そういう姿を思い出しました。警備係の制服・・・うーん、何かいいアイデアないかしら???普通の職員と一緒で紛らわしいところも気になります^^;

名無し様、コメントありがとうございます。
(うららさんでしょうか?w)

画像だと朱色っぽく見えますが、もう少し「赤」らしい赤ですね^^
部分によっては完全に色が落ちているところもありました。
できれば修復記録を読んでみたい・・・。

そういえば別の展示場では書がたくさん掛かってました。いろんなグループ展も活発ですよね。
是非、企画展も足を運ばれてみてください♪この展覧会はお勧めです!クリアファイルは後悔してません(笑)

服飾の歴史も、調べてみると色々面白いのでしょうね~!たっつけ袴には驚きましたが、まだ他にもきっとそういった何かがあるのでしょうね!

江戸東京博物館は常設展も凄いですよ。マジメにひとつひとつを見たら一日じゃ足りません^^;(疲労困憊必須)
しかもスケール感がハンパないので、一度は行って見て損はないと思います!日本橋を渡れるし(笑)あの博物館のハコの大きさから中の展示物のサイズを想像してみてくださいねw
相撲博物館の新しい展示も見るのが楽しみです♪

今日、タピスリー展に行ってきました!
行ってよかった! いい展覧会でした!

入っていきなり6枚の大きなタピスリーが壁を埋め尽くしているのにびっくり!
500年前に作られたものが、ガラスの覆いもなく、直に見られるだけでも感激です。
同じ人の下絵から(同じ人だとしたら)、これだけセンスの違う女性が織り出されるのも面白いですね。下絵の線の太さのどこをとるか、微妙なところに織る人の好みが反映されてしまうのか。

私が1番魅かれたのは、『味覚』のユニコーンの、品が良くて、色っぽい体の線!
ユニコーン→美しい馬→色気ッ!!!
どォ~~~~~~~しても離れられないッ!

いくさん、いらっしゃいましたか!
そうですよね、ガラス越しではなく直に見られるのはありがたいですよね!全く別物になってしまいます。
見れば見るほど6枚とも違うので、いろんな想像を掻き立てられます(笑)タイムマシンがあったらなあ・・・!

『味覚』のユニコーン、秀逸ですね!
そう、品の良さ!気品→ユニコーン→馬→色気!!!
・・・そうきちゃいますかwwwきちゃうんだなどうしてもwww
しかも土俵上で跳ね上がってますから!(笑)

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