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2015年1月28日 (水)

白鵬の「地位が人をつくる」とは

昔々の若い頃、レイ・ブラッドベリの小説を読んで、話の内容は全く覚えていないのに、当時の自分の心に深く刻まれた言葉がありました。

きちんとした文章では覚えていないのですが、趣旨としては

「人間の見た目の年齢は、必ずしもその人の本当の年齢ではない」

というようなもの。
今ではストンと臓腑に落ちるのですが、当時は自分なりに深い部分で感銘を受けた言葉でした。
(とはいえ、きちんとブラッドベリの言葉で示さないと、言葉の深みが伝わらない気もします)

さまざまな社会的環境の中で育つ人間一人一人は、同時に小学校に入学しても、すでに大人びた子もいれば、野放しの動物のようなやんちゃ盛りの子もおり…と、ひとつに括ることができないもの。
「社会人」として活躍するようになった大人も、出会う人々や拡大された環境に影響されながら、精神的成長を遂げていく。
「地位が人をつくる」は、上記のレイ・ブラッドベリの言葉が大きな括りの言葉だとすれば、そこから派生した項目のなかのひとつの言葉ともとれる。

一夜明け会見の問題発言に関しては、あまりに根深い問題が横たわっていると思われるので(白鵬本人、協会、マスコミ、大相撲ファン等々)、私にどうこう言う権利はありません。問題が勃発したのを知った時に、ツイッターでその時に感じた事は素直に発信してしまいましたが、時間が経てば経つほど正直馬鹿らしくなってきてしまいました。

それよりも私が言語道断だと思うのは、大事な大事な千秋楽の取組前の入場時間を意に介さない角界トップ力士がいた、ということです。

言葉という、ともすればそれだけを抽出すればあやふやになってしまうようなものは(それに、世の中の編集映像はあくまで「切り取った」ものでしかない。脈絡を判断する猶予は視聴者にはない)、どうにでも解釈できてしまうものですが、”生中継”で放送された由々しき事態は、作りようがない「事実」です。
尤も、私は当日は国技館におり、碧山の取組を見るのに集中していたので、白鵬と日馬富士が取組中に入場したのには気づきませんでしたが。
(「あれ、これより三役の前なのにいない?」とは最初不思議には思った。気づいたら東が揃っていた、という感じ)

白鵬関。
準備運動にいつもより時間を割いていたのかどうかはわかりませんが、なぜ8年間も綱を張っていながら、大鵬超えの優勝33回を成し遂げた直後に初めてそんな行為をしでかすのでしょうか?
世界は貴方中心に回っているのではない。
「命をかけて相撲をとっているんだから」と言いますが、「命をかけて相撲をとっている」のは他の力士たちだって全く同じです。
二人が必死に戦っている最中に、のこのこと大きな体を土俵と溜まり席のお客様の間に滑り込ませて、何事もなかったかのように座布団に座るとは。
取組を見ているお客様達にも失礼、取組中の力士たちに対しても失礼。
それに、同じ横綱として耐え忍んでいる日馬富士に対しても大変失礼な行為ではないでしょうか?
花道奥は、言わずと知れた「目の前の一番へ向けての気合注入と精神統一の儀式を行う場」。
いつもなら花道奥で心を落ち着かせる日馬富士も、貴方が時間通りにやってこないことに焦りながら後ろを向いては一歩進み、また振り返っては一歩進み…と、いつもとは全く違う時間を過ごす羽目になった。
10勝で終えるか11勝で終えるかの瀬戸際で、日馬富士がどんな気持ちでその時間を過ごしたと思うのでしょうか?

「地位が人をつくる」と言いますが、まだ二十代という若さでそれだけ各界のトップなど錚々たる人々と貴重な時間を持ちながら、濃密な経験を積み重ねながら、なぜ目の前の「誰にとっても極めて基本的な」力士の本分を全うできないのでしょう?
それ以前にこれは単純に、「他人を敬う気持ちがあるのか否か」という、人間として基本的なことをあなたが欠いている、ということを露呈した行為ではなかったか?
あなたの奇妙な行動は、それこそ「子供にだってわかる『やってはならぬ』こと」です。
「時間に遅れたぐらいじゃないか」ともし仰るのであれば、もう一度付け人業を経験してみたらどうでしょうか。
(付け人たちがたくさんついていながら時間に遅れるということ自身、腑に落ちない)

今後のあなたの「地位が人をつくる」が、ますますねじ曲がった方向へ行かないよう願うばかりです。
「数字的には大鵬さんを超えても、精神面ではまだまだ」と自ら認めているということなので、今後のあなたの精神面がどう変わっていくのかが楽しみです。

あなたは年齢よりずっと大人の若者だと思っていたけれど、とりあえず今のあなたは、私からすれば「駄々をこねる4歳の子供」となんら変わりはありません。
あなたの行為が全力士に直接的・間接的に多大な影響を及ぼしていることも、今一度胸に手を当ててよく考えていただきたい。

あなたがどれだけ恵まれた環境にいるのかを理解し、そしてその恵まれた環境を勝ち取っただけの資質があるのであれば、本当の意味で土俵に、社会に「恩返し」してください。
言いたいことがあれば、自分の本当の言葉で全て公表してください。
私には、これまでのあなたの言葉のほとんどが(皆が感動したという言葉の羅列さえも)、いつまでたっても心に響いてこない。
(日馬富士の言葉はなぜ痛いほど響いてくるのだろう?)
自らを滅ぼすような頑さは捨てて、一皮も二皮も剥けてください。
人種差別があなたの敵なのではなく、敵は自分自身の中にあるのだということを素直に認めてください。

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コメント

全く持って同感です!!!

記者会見の件については、あれこれ耳にしていただけで、あほらしくなりました。白鵬を教祖様のようにあがめている人の数が、こんなにいるのか~とあきれはてた┐(´д`)┌ヤレヤレ
朝青龍のやんちゃさが可愛く思えてきてしまいました(^-^;


あの土俵入り遅刻の件、こちらは誰も何も言ってないのかな?私もむしろこちらが問題だと思います!

後援者の中に、横綱をきちんと諭せる人はいないのかしら?(以前から蒔右絵門さんはご指摘だったと記憶しています)

いずれにせよ、非常に後味の悪い初場所となってしまいましたわい。

サッカーや野球で審判の判定にクレームつけたら、レッドカードか退場処分だ。
33回優勝の大横綱であっても、許されない愚行である。

結局、宮城野親方厳重注意で一件落着、って白鵬本人は全然反省してないやろ。

3月の大阪場所、白鵬出場停止にするべきだと思う。
そうでもしなきゃ、この横綱、反省なんかしませんよ。

満員御礼が続いているのに横綱出場停止はちょっと、とか言われそうやけど、
キャパの小さいボディーメイカーコロシアムなら、白鵬いなくても満員になるだろう。

とにかく、審判批判を(事実上)容認してしまえば、相撲以外のスポーツに顔向けできないんじゃないか。
「あれは酒気帯び会見だから」という朝日の抜井記者、そんな簡単に片付く問題じゃないですよ。

ワタシ、ツィッターもブログもやってないんで、このイライラした気分をぶつける場所がなくて、
このコメント欄お借りしました。乱文乱筆ご容赦ください。

まーがりんろーるさん>

白鵬のブログコメントは昨日時点のものしか見ていませんが、コメント認証がかかっているので実際のコメント数は表示されているものの倍をはるかに超えるものでしょう。少なくとも寄せられた全コメントを反映させているとは考えていません。
今日、協会に苦情も朝から業務終了時まで鳴りっぱなしだったということですが、9割が苦情、1割が白鵬擁護の電話だったようです。
そこから推して知るべし、でしょうね…。

先ほど、伊勢ヶ濱審判部長が「あんなの見たことない」と遅刻について苦言を呈している記事を読みました。
他にも触れている記事はありましたが、やはりNHKにまでニュースが出ている件といえば、審判部批判の話ですね…
というか、ついにNHKまでもが…と、驚きを隠せません。

すでに白鵬とマスコミとの信頼関係もあやうくなっているし、今後我々は正しい客観的な報道を得られるのでしょうか。

2月の節分を前にしてこの事態。白鵬の影に隠れて別のニュースも出てきているし…
さしあたっては節分の日が色々な面で心配です。
はあ…新十両が発表になっても後味悪い…

shin2さん>

私自身は、出場停止にさせてもあまり効果はないように思っています。輪をかけて頑固になり、収拾がつかなくなるのではと懸念します。
むしろ出場させて、協会の外にある周囲の厳しい目を肌で感じて欲しい。
それでさらに「自分はいじめられている、差別されている」と感じるばかりなのであれば、もうどうしようもありません。
心からの反省の色が土俵上の白鵬に見ることができれば、お客さんだってすぐにそれを感じ取れるはずです。たいていの場合は。
それでも何かしら管をまく人はいるでしょう。でも100%の日本人が人種差別をしない、というわけにもいかないのは確かであり、それは仕方のないことです。そんな綺麗さっぱり「白だけ」の国民など、気味が悪くて想像もできません。白鵬だって1週間しか日本に住んでいない人間ではない。海外に住んだことのある日本人なら、おそらく誰もが人種差別をなんらかの形で経験しているものではないでしょうか(少なくとも私は経験しました)。人間は理念だけで生きているわけではありませんから。

白鵬の未熟さは「こんなに頑張っているのになぜ自分が」と、相撲に関して自分にばかり目が向いているところにあるように感じます(普段は決してそうではないと思いますが)。最近、人ときちんと対話ができているのだろうか?と心配になります。
日本で起きる、本場所で起きるさまざまな現象(アンチコール含め)にはどんな意味があるのか、を、きちんと噛み砕いて白鵬に解くことができる人がいないのではないのか?と訝りたくなります。
そしていまだに「郷に入れば郷に従え」の意味をわかっていないのではないか?と。

とにかく、人種差別で審判が取り直しをさせたのではない。断じてない。これだけは確かです。

朝日の記者の呟きの数々には呆れて物も言えません。
「だいたいが、白鵬の一夜明け会見の発言に目くじらたててる方々は、大切なことを忘れている。あれは「酒気帯び会見」なんです。前夜の大騒ぎからの泥酔状態をさらして、『もうー、横綱ったらw』って笑ってもらうのが、あの会見なんです。そういう許容が社会にないなら、一夜明け会見はやめるべきです。」等々。

この件に関しては朝日キャップもひとつ紙面に記事を書きたかったそうですが、上層部(?)に却下されたとのこと。
白鵬を全面的に擁護するというのであれば、サラリーマン生活をやめてでもその記事を書いたらどうなのでしょう。
白鵬のためにそこまでの覚悟があるとは思えませんが。
でも「全面的に擁護する」とは、そういうことなのではないかと。

いずれにせよ、私はこの件については長年の蓄積による根深く深刻な問題が横たわっていると思っているので、あまり簡単に触れたくはありません。
とはいえ少ない情報の中で、一般的見解として自分とおおよそ同意見の記事だと感じたのは、サンスポの「甘口辛口」でした。
http://www.sanspo.com/etc/news/20150128/amk15012805000001-n1.html

昔から書いていることですが、私は人が書いた記事というものを100%信用はしていません。複数の視点を見て、総合的に判断することがほとんどです(完全に客観的&無機質な事実のみを述べた記事は別です)。
信じるのは基本的に、自分がその場にいた時に目にする・耳にする一部始終のみ、編集加工されていない映像のみです(それだって、全てを見尽くせているとは限らないのではありますが)。
その意味で、この件よりもやはり私がどうしても許せないのは、本場所のルーティーンを乱した白鵬のことです。
自分は優勝が決まったから、と、気が緩みきった、としか思えません。
そうでなければ、付け人が「時間です」と言っても無視して自分の結びの一番のこと「しか」考えない白鵬だったか、どちらかとしか思えません。
33回目の優勝だし、自分さえよければそれでいい。そんな態度の表れにしか見えなかったのです。

角界の看板がこんなことをしでかすこと自体、前代未聞ではないでしょうか。
「礼に始まり礼に終わる」「相撲道」等々、色々言葉を並べる「大横綱」ですが、一番礼を欠いているのは一体誰なのだ!?と。
朝青龍だってこんな失礼なことをしてはいないと思うのですが。

ちょっと(かなり)私のほうも論点がずれてしまいましたが、「審判の判定へのクレームは泥酔会見だから」と一言で済ませることのできる簡単な話ではない点で、この事件は大相撲を見る我々・協会・マスコミ・白鵬自身がもっと掘り下げていかなければならない重大事項と私は考えます。
本記事では「馬鹿らしくなってきた」と書いていますが、それはニュース記事を読んでも中身が薄いためです。
いずれ、鋭い分析を提げた何かが登場することを願います。

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