フィレンツェの大聖堂。華やかな外観に圧倒されて中に入ると、びっくりするほどシンプルで、がらんどうのような空間に身を置くたび中途半端な気分になります。とはいえルネッサンス芸術を代表する錚々たる人物の作品がここにもあそこにも…それらを目で追っていっても、最終的にはここを訪れた人々が灯していったロウソクの存在に引き寄せられてしまいます。かつての時代の人たちにとっては人工の明かりといえば松明かロウソク。かすかな空気の揺らぎでまたたくロウソクの灯し火ほど、時の流れを感じさせるものはないかもしれません。