2018年12月6日(木)放送「Nらじ」〜「貴ノ岩の暴力問題」(刈屋解説委員)書き起こし

このラジオ番組を書き起こしをしてくださった方には心より御礼申し上げます。

以下がNHK刈屋解説委員による今回の貴ノ岩による暴力問題についての解説です。


本来、このブログは大相撲ラジオ実況中継の書き起こしを記すために立ち上げましたが、大相撲関連の放送に関わる内容ということでご容赦くださいませ。


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まず男性アナが今回の事件の概略を説明、続いて街の声3つ。①(女)被害者が加害者になる、複雑な思い、②(女)力士個人の有りようというより、相撲協会全体の有りように問題にあるのでは? ③(男)「貴」という部屋で続いて起きているのが気になる。

 

以下、F:女性アナ、M:男性アナ。刈屋解説委員は電話出演。

 

F

今回暴行被害者が加害者になったということで、皆さんからも複雑だと言う声が多いんですけれど、刈屋さんはどういう風にお聞きになりました?


刈屋

そうですね。ただこの1年間にですね、相撲協会が外部に委嘱して、その委嘱された再発防止検討委員会が8ヶ月かけて、実に相撲協会900人全員と過去10年に辞めた人にも声をかけて、過去に例のない大規模な調査をしてるんですよ。これによって暴力の色んな実態が浮き彫りになっているんですけれども、その調査の中で暴力を振るった人の実に85%の人が、暴力を受けてるんですね。ですから暴力を受けた人が、まぁ、自分で暴力を振るえるような立場になった時に暴力をやっているっていうことから考えると、まぁ今回のデータもそれに当てはまるかっていうこととですね、あと、自分が被害者としてその痛みもわかってるわけですし、そして自分に暴力を振るった日馬富士がそれの責任を取って引退してるわけですよね、そういうことを考えて、その大問題の最中に部屋の貴公俊という弟弟子も暴力を振るって、出場停止を受けている、と。そういうことを、もう本当に誰よりも理解し、誰よりも身に染みているはずの本人がですね、ここでまた暴力を振るってしまうということは、ま~やはり理解できませんけれども、ただ、実は貴公俊の暴力事件があった時の色んな調査の中で、貴ノ岩こそ、やはり暴力を振るっていたっていう色んな証言も、実は出てたんですよ。つまり貴ノ岩の暴力ってのは、かなりまぁ、常習性があってですね、そして色んな所で、こう、少し問題になりかけていたんですね。ですから、あの日馬富士の暴力事件も、実は、最初は錦糸町で貴ノ岩がほかの部屋の力士に、まぁ、かなり暴...まぁ、暴言というかですね、え~、乱暴な態度をとって、しかもそれを注意した一般のモンゴルから来た人に対しても、暴言を吐いてたわけですね。だからそういうことが、かなり問題になるのではないかということを心配して、白鵬や日馬富士が、まぁ、指導した、と。その指導の時の態度にカッとなった日馬富士が、まぁ暴力を振るった、というのが、わかりやすく言うと、そういう構図なんですよ。つまりは貴ノ岩のその常習性の部分を、かなり色んな形で注意されていて、しかも自分もその被害者になっているにもかかわらず、やってしまったということは、これはですね、ま~~本当に残念としか、残念というよりか言葉にならないという感じですよね。


M

街の人たちの声にもあったんですが、元貴乃花部屋の関取が立場の弱い付け人に暴行する事件というのが相次ぐんだけども、これは何か部屋と関係あるのか、という意見が、質問があったんですが、これは、どうなんでしょうね?


刈屋

いや、あのですね、相撲界にはやっぱり歴史的にですねぇ、その報告書にも書いてあるんですけども、暴力が時として教育・指導の手段として有効、という共通認識があった時代があった、と。で、それは確かにあったと思うんですけども、それをですね、やっぱり暴力はだめなんだっていう風にすぐに直せた部屋と、それが残存していった部屋とあるんですよ。これはやっぱり親方によってですね、部屋の、その考え方によって部屋の雰囲気が全然違うんですね。ですから今回の調査でも、暴力が全然無くなっている部屋が、全くに近いほど無くなっている部屋が3分の1、全然無くなっていない部屋が3分の1あるんですよ、数字として。ですからもしかすると貴乃花部屋において、暴力が指導において有効な手段だという風な雰囲気というかですね、共通認識が、もしかするとあったのかもしれない、と思わざるを得ないですよね。


M

なるほどね。しかしあの、先程一部触れられましたけど、相撲協会とすれば暴力決別宣言まで出してですね、相撲協会としてはこういうのを防ごうという姿勢は見せてますんでしょう?


刈屋

そうですねぇ。


M

でも起きてしまう。今後求められる対応って何だと思います?


刈屋

いやぁ、でも、やはり僕は、その暴力決別宣言をしたことをしっかりと実行していくことだと思いますよね。あのぉ、意識をまず、意識革命というぐらいの意識を変えることです。どんなことがあっても暴力はいけないんだと、暴力は絶対だめなんだっていうことをですね、稽古の場でも、あるいは生活の場でも、どんな場でもだめだ、いかなる理由があってもだめなんだっていうことを宣言してますので、それをもう、意識として植え付けていくことしかないのと、あと、暴力を振るったらこういう風な罰則がありますっていうことをやっぱり厳格にする、明確にするっていうことですよね。それと、もう、不断の検証というか、絶え間ない検証ですよね、大丈夫なのか、ちゃんと意識はそうなっているのか、ちゃんとそういう風に指導しているのかってことを検証していくってことを、これからもう、本当に、一場所ごとにやっていくっていう、そういう努力が必要になってくるだろう、という風に思います。


M:

わかりました。


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追記:

刈屋解説委員の関連事項解説はこちらもご参照ください。合わせて読むことをお勧めします。


くらし☆解説「大相撲界暴力根絶の取り組み」2018年12月4日(火)